なるなる流『論語』入門
2500年越しの“やさしさの技法”
北川 仁美
序章:2500年越しの「やさしさの技法」へようこそ
『論語』と聞くと、「古典」「難しそう」「学校の道徳の延長」……そんなイメージが浮かぶかもしれません。
しかし実は――
『論語』とは、“人が生きやすくなる方法”をまとめた本。
2500年前の中国で、孔子とその弟子たちが
「どうしたら人と調和できるのか」
「どうしたら学び続けられるのか」
「どうしたら思いやりある社会がつくれるのか」
そんな悩みを語り合った記録です。
悩みの内容は、実は現代とほとんど変わりません。
人間関係が難しい、チームがうまくまとまらない、誰かを育てることが難しい、正しいことを貫くのがしんどい、感情が揺れる、学び続けたいのに続かない……。
これらは現代の保育・警備・不動産・社労士の現場で、私たちが日々直面しているものです。
だからこそ、なるなる流の価値観――
「やさしさ・調和・学び・愛と自由」
と異常に相性が良いのです。
本書は、『論語』をなるなる流に翻訳しなおした入門書です。
難しい知識は不要。ただ、人として大切なものを静かに見つめ直す。
最後にはこう理解できるはずです。
『論語』は、“人間というOS(基本構造)”の設計書である。
第1章:『論語』ってどんな本? — 30秒でわかる全体像
◆ 『論語』は「孔子の言葉」ではない
正確には、孔子とその弟子たちの対話を編集した「人生相談の記録」です。
誰かが悩みを持ちかけ、孔子が穏やかに答える。弟子どうしが意見を交わす。
そこには、怒り、葛藤、失敗、喜び、学びが生々しく描かれています。
つまり、“人間のリアル”を扱う本なのです。
◆ どういう時代の本?
孔子が生きた春秋戦国時代は、争いが絶えず、社会が不安定で、価値観も揺れていました。
これはどこか現代の私たちに似ています。
社会は複雑で、変化が速く、孤独や不安も多い。
そんな中で孔子が目指したのは――
「やさしさと秩序のある社会」
「人が人を大切にする世界」
まさに“なるなる流”が目指す価値観に重なります。
◆ なぜ今『論語』が必要なのか
AI時代は合理性が進み、便利さも増します。
しかしその一方で、「人間らしさ」が問われる時代とも言えます。
人を励ます、子どもを理解する、お客様に誠実に向き合う、苦しい仲間を支える、チームをまとめる、理念を守る。
そのすべては“人間の技術”です。
だからこそ、『論語』の価値は落ちません。むしろ今が読みどきなのです。
第2章:論語の三本柱「仁・礼・学」— 現代語でざっくり理解
『論語』を理解するには、この三つさえ押さえれば十分です。
◆ 1. 仁(じん)= やさしさの深さ
孔子がもっとも大切にした価値。一言で言えば、「相手を思いやる力」。
- 相手を尊重し
- 過度に踏み込みすぎず
- 困っていればそっと支える
保育なら“子ども理解”、警備なら“落ち着いた声掛け”、不動産なら“ニーズの本質を聴く”、社労士なら“労働者と会社双方への誠実さ”。
すべて「仁」です。
◆ 2. 礼(れい)= ふるまい・距離感の技術
「礼」は単なるマナー本ではありません。“人間関係を壊さない距離感”の技術。
- 声の大きさ
- 言葉遣い、態度
- 約束の守り方、境界線の引き方
現代でいえば コミュニケーションのOS部分です。
囲み保育は「礼」の実践形態と言えます。
◆ 3. 学(がく)= OSアップデートの習慣
孔子が死ぬまでやめなかったことは「学ぶこと」。
“学びは自分を整えるメンテナンス”
すべてが「学」の延長線です。
第3章:なるなる流で読み解く『論語』名言ベスト15
ここでは名言を 原文 → 超シンプル要約 → なるなる流の現場での使い道 の三点セットで掲載します。
1. 学びて時にこれを習う、またよろこばしからずや
【意味】 学び続けることは自分を幸せにする。
【現場】 資格取得・研修文化の基礎。学ぶ人が組織を明るくする。
2. 己の欲せざる所、人に施すことなかれ
【意味】 自分がされて嫌なことは、人にしてはならない。
【現場】 保育・警備・不動産すべての“やさしさ基準”。
3. 君子は和して同ぜず
【意味】 仲良くするが、流されない。
【現場】 家族経営の健全性・適切な意見の出し方。
4. 過ちて改めざる、これを過ちという
【意味】 失敗しても改めれば問題ない。改めないことが本当の失敗。
【現場】 ヒューマンエラー対策・再発防止のマインド。
5. 名を正す
【意味】 役割が曖昧だと、何も整わない。
【現場】 保育配置・警備指示・不動産業務フローの明確化。
6. 忠信を本とす
【意味】 誠実であることがすべての土台。
【現場】 社労士・不動産における信頼獲得の基本姿勢。
7. 仁者は人を愛す
【意味】 本当に強い人は、人を愛する人。
【現場】 チームづくりの核心。園長・所長の姿勢にも。
8. 三人行えば必ず我が師あり
【意味】 誰からも学べる。
【現場】 新人からも学ぶ文化。
9. 温故知新
【意味】 昔のことを知ると、新しいものが見える。
【現場】 理念の再確認・属人化の防止。
10. 知る者は好きなる者に如かず…
【意味】 「好き」が最強の学びのエンジン。
【現場】 得意を伸ばすマネジメント。
11. 徳は孤ならず、必ず隣あり
【意味】 良い行いは必ず誰かが見ている。
【現場】 コツコツ誠実に働く人が組織を支える。
12. 君子は器ならず
【意味】 スキルだけの人間になるな。人格も磨け。
【現場】 専門家ほど心が大切。
13. 慎終追遠
【意味】 ご先祖・ルーツを大切にする。
【現場】 理念の継承・創業精神の尊重。
14. 言忠信、行篤敬
【意味】 言葉は誠実に、行動は丁寧に。
【現場】 園児・利用者・お客様・行政との信頼構築。
15. 小人は怠りて学ばず
【意味】 学びを止めると衰える。
【現場】 AI時代の人材育成の最重要ポイント。
第4章:現場で使える“論語の実践法”
なるなるグループは事業が多岐に渡るからこそ、『論語』は各現場に応用できます。
◆ 保育(囲み保育 × 仁と礼)
- 子どもを尊重する:仁
- 感情の距離感を調整する:礼
- 園内の調和づくり:君子の姿勢
- 保護者対応:忠信
◆ 警備(誠実さ × 冷静 × 礼)
- 明るい声掛けは「礼」
- 危険判断は「義」
- 一つの油断が大きな混乱を生む → 過ちの即時修正
◆ 不動産(誠実さ × 事実説明 × 仁)
- お客様の本当の希望を聞く:仁
- 契約説明の丁寧さ:礼
- 情報の透明性:信
◆ 社労士(信義 × 公平 × コミュニケーション)
- 労働者と会社双方への誠実さ:忠信
- 法令遵守:義
- 問題社員への対応:礼(距離感)
第5章:AI時代の私たちが『論語』を読む意味
AIは高速で成長しています。しかしAIは「人を励ます」ことの深さを完全には理解できません。
だからこそ――
・仁(思いやり)
・礼(ふるまい)
・学(成長)
これら“人間OS”の質でチーム力が決まる時代です。
なるなるビジョン2030は「AI × やさしさ」をテーマにしています。
その“やさしさ”の体系書がまさに『論語』なのです。
終章:明日から使える、なるなる流 論語ワーク
今日からすぐできる簡単な実践を用意しました。
◆ ワーク1:1日1行「論語 × 自分の現場」メモ
今日出会った出来事のどれが「仁」だったか、1行だけ書く。
◆ ワーク2:チームで共有する「なるなる流 論語ミーティング」
週に1回、名言を1つだけ選び、「現場にどう活かせる?」を短く話す。
◆ ワーク3:個人の“OSアップデート”宣言
自分の中の「弱い部分」「伸ばしたい部分」を一つ決め、「学」で改善する。
おわりに
2500年前の言葉が、いま、札幌の小さな私たちのグループで息を吹き返しています。
現場で悩むとき、人間関係に揺れるとき、新しい挑戦に不安があるとき、あなたを支えてくれるのは高価な機材でも、難しい理論でもなく――
“人を思う心”と
“やさしく整えられた日々のふるまい”です。
それを教えてくれるのが『論語』なのです。