Z世代の「友達・お金・結婚」観

文:北川仁美

まえがき

 私は、世にいう「ミレニアル世代」「Y世代」と呼ばれる人間である。この私から見たZ世代(1995~2015年生まれ)の価値観についてみていきたいと思う。彼らの特徴にこれからの日本、いや世界の未来を見ることが出来そうな気がしている。今回は、私の意見は極力抑えて彼らの実態を淡々と紹介して行きたい。

友達

ミレニアル世代から見たZ世代の友達観

博報堂生活総合研究所が2024年1〜2月に19〜22歳の未婚男女(2002~2005年生まれ)を対象を行った調査を、30年前の1994年調査と比較したところ、誕生日にプレゼントを贈る相手に大きな変化がありました。男性ではプレゼントを贈る相手が「恋人」から「男友だち」に大きくシフトし、女性でも「恋人」が減り「女友だち」への贈り物が増えています。この結果は、恋人や異性の友人よりも同性の友人を大切にする傾向が強まっていることを示しています。研究所は、こうした同姓の友人を「ローリスク仲間」と表現し、恋愛による心の傷や時間的負担を負わない安心な関係として評価しています。

調査では友人関係が「リセットされない時代」という背景も指摘されています。SNSが多様化した結果、高校までの友人と複数のSNSでつながり続け、新しい環境に移っても関係が途切れにくくなったことや、中高一貫校が2000年以降約40倍に増え、6年間同じ仲間と過ごす若者が増えたことが影響しています。こうした環境では友達の「数」を増やすより、価値観が合う少数の友人と深い関係を築くことを重視する傾向が強まっています。

狭く深い付き合いと家族的なつながり

一貫したつながりを維持することで、Z世代の友達関係は家族的なものになりやすいと言えます。日常の相談相手や情報交換の相手も同性の友人が中心であり、家族同然の安心感を求めています。親世代との関係も強まり、「母親」との距離感が30年で大きく縮まったという調査結果もあります。

こうした背景から、Z世代の若者は孤独を嫌いながらも大量の友達を求めず、信頼できる人間関係を狭く深く維持したいと考えているようです。SNSでのつながりを活用しつつ、限られた仲間と本音を共有できる環境づくりが重要だと私は感じました。

お金

効率性と「マネパ(マネーパフォーマンス)」

ペイディ社が2025年9月に18~29歳の男女400名を対象に行った「お買い物に関する意識調査」によると、Z世代の86.0%が「お金の使い方において効率性を重視する」と回答しました。お金の使い方で重視する項目の上位は「好きなことにはお金をかけ、節約するところは節約するメリハリ消費」(37.5%)、「コストパフォーマンスを重視する」(37.0%)、「予定や出費に合わせて柔軟に支払い方法を選びたい」(31.0%)で、コスパ・タイパ(費用対効果や時間対効果)を重視する姿勢が鮮明です。

Z世代は「マネパ=マネーパフォーマンス」をキーワードに、単に安さを追求するのではなく、自分が価値を感じることに投資し、支払い方法やタイミングを賢く選びます。例えば、ボーナスや臨時収入時に夢につながる買い物をする人が43.0%、セールやキャンペーンを利用する人が32.5%でした。一方で「定価が高いと諦めてしまう」と回答した人が75.0%に達する一方、セール時は82.5%が「思い切って購入したい」と答えており、チャンスを見極めて行動する姿勢が見て取れます。

分割払いを戦略的に活用

調査では、Z世代の80.8%がセール後に「支払いが集中した」と感じた経験があり、74.4%が分割手数料無料ならばセール時に分割払いを利用したいと答えています。これまでの若者がクレジットカードに頼っていたのに対し、Z世代は手数料無料の「あと払い」サービス(Buy Now, Pay Later)を積極的に利用し、支払いの山をなめらかにすることで「自分らしくコントロールする」消費スタイルを確立しています。

金融教育やSNSからの情報収集に積極的な彼らは、無駄遣いを避けながらも自己投資や経験への支出を惜しまず、柔軟に支払手段を選択することで将来の夢を叶えようとしています。このような姿勢は、私たち企業人にとっても経費のメリハリを付けながら効率的にリソースを活用するヒントとなりました。

結婚

恋愛離れと個人主義の高まり

マッチングアプリ利用経験のある18〜28歳の未婚男女253人を対象にした調査では、「恋愛が面倒くさい」と感じる人が男性で62.6%、女性で67.5%にのぼることが報告されています。男性の理由は自由な時間が減る(36.4%)、ひとりが気楽(29.3%)、お金がかかる(28.3%)などで、女性はひとりが気楽だから(58.7%)、自由な時間が減る(56.7%)、お金がかかる(37.5%)が上位を占めました。このように、趣味や自分のペースを守りたいという個人主義が強く、恋愛に時間やお金を割くことを負担に感じる傾向がうかがえます。

それでも「いずれは結婚したい」「いい人に出会えれば結婚したい」と答えた人は男性で76.7%、女性で79.9%に達し、恋愛を面倒に感じながらも結婚自体には前向きな姿勢が残っています。これは、恋愛をコスパで計るようになった一方で、安心できるパートナーや家族を持ちたいという願望も共存していることを示します。

結婚への温度差と不安要因

NoFrameが2024年夏に実施した調査では、18〜29歳の未婚Z世代のうち「恋人が欲しい」と答えた人は56.6%で、「欲しくない」と答えた人は43.4%でした。将来結婚したいかという問いには「結婚したい」が55.8%、「結婚したくない」が44.2%で、子どもを持ちたいかどうかは「持ちたい」48.8%に対し「持ちたくない」51.2%と、子どもを持つことへの意欲は過半数を下回っています。恋人や結婚を望まない理由としては、「ひとりでいるほうが楽しい」「人間関係のストレスを避けたい」「恋愛に興味がない」などの声が挙がっています。

一方で、結婚願望を持つ20~26歳のZ世代110名を対象にした調査では、現代の物価高騰などの経済・社会環境が結婚観に「非常に影響している」または「やや影響している」と回答した人が84.6%に達し、結婚に不安を感じている人は約9割(かなりある41.0%、ややある47.3%)に上りました。不安の内容は経済的な不安(64.9%)、子育てへの不安(53.6%)、仕事と家庭の両立(39.2%)が上位で、将来の生活費や育児負担への懸念が強いことが分かります。

それでも結婚を望む理由としては、「子どもが欲しいから」(50.5%)、「恋人とずっと一緒にいたいから」(47.4%)が大きく、負担を分担して経済効率を高めたい(26.8%)という現実的な理由も挙げられました。結婚後の理想の生活像では、仕事と家庭のバランス(45.5%)、家族との時間を大切にする(42.7%)、経済的な安定(41.8%)が重視され、趣味や自己実現の追求は15.5%と低いことから、家庭と仕事の両立や安定を優先する志向が読み取れます。

独立性と共生のバランス

手作り指輪専門店「icci 代官山」が2025年3月に行った調査では、結婚願望を持つ18〜26歳の若者111名の95.5%が「結婚後も今と同じくらい1人の時間を大切にしたい」と答えました。1人の時間が必要な理由として「趣味に没頭したい」(63.2%)、「心身をリフレッシュするため」(60.4%)が挙げられ、自己成長やリセットの時間を確保したいという意識が強いことが分かります。

しかし同調査では、74.8%が「パートナーと何かを共有する時間も重要」と回答しており、独立性と共有のバランスを求める姿勢が見て取れます。重要なのは長時間一緒に過ごすことではなく、食事や旅行など限られた時間の質を高めることだとされ、結婚指輪に対しても「自分たちらしさを反映したい」と83.8%が回答していることから、形式よりも二人の価値観や個性を尊重する傾向が伺えます。

考察:Z世代の価値観から学べること

1. 「つながりの質」を重視する時代

Z世代は、大量の友人や派手な恋愛よりも、信頼できる少数の仲間や家族的な関係を大切にします。同世代であっても「気の合う人を選ぶ」傾向が強く、恋愛に対しても時間やお金のコスパを考え、必要以上に踏み込まない姿勢が顕著です。このような価値観は、職場のチーム運営においても単なる人数の多さではなく、信頼や共感に基づいた関係を重視することの重要性を示唆しています。

2. 自分らしい生き方と賢い資産運用

「効率性」を軸とするお金の使い方は、経験や自己成長に投資する姿勢と表裏一体です。メリハリ消費やコスパを意識しながらも、ボーナス時に夢につながる買い物を計画し、手数料無料の分割払いを賢く活用するなど、Z世代は自分の価値観に合ったライフスタイルを実現しようとしています。これは、企業の資金運用や福利厚生でも、単に支出を抑えるのではなく社員の自己投資や生活の質を高める制度設計が求められることを示しています。

3. 結婚=自由を失うものではない

Z世代にとって結婚は必ずしも「自由を失うもの」ではなく、個人の時間とパートナーとの時間を両立する柔軟な関係として捉えられています。経済的な不安や子育ての重さから結婚に慎重な姿勢が見られる一方で、理想の結婚生活では仕事と家庭のバランスや経済的安定が重視され、負担を分担することでメリットを得たいという考え方が根底にあります。あなたの会社でも、育児支援や柔軟な働き方を整えることで、若い社員が安心して家庭と仕事を両立できる環境を提供することが重要です。

4. 多様なライフスタイルへの寛容さ

NoFrameの調査では、結婚したい派としたくない派がほぼ半数に分かれ、子どもを持ちたいかどうかも意見が割れていました。恋愛や結婚に対する考え方の多様化は、価値観の押し付けを嫌うZ世代らしさと言えます。

おわりに

 ミレニアル世代である私から見ると、Z世代は「合理的で冷めている」のかもしれない。しかし、彼らが求めているのは人間関係やお金・時間の効率化を通じて自分らしい生活を守ることであり、その根底には家族や仲間への深い愛情がある。SNSでつながり続ける友人関係や、メリハリのある消費、独立性と共生のバランスを重んじる結婚観は、まさに時代の空気の流れを素直に体現する「鏡」のような存在だと私には映った。

 調べていく過程で、私や家族、そして「なるなる流」や「囲み保育」は、こうしたZ世代の価値観と親和性が高いと感じた。家族的な職場環境を維持しながらも、個々のライフスタイルやキャリア目標に寄り添った制度を整えることで、Z世代が安心して活躍できる場は、意外と簡単に用意できるかもしれないと思った。

【参考文献・出典】